Air Fertilizer®
農作物を育てるための全く新しいゼロカーボン有機質肥料
温室効果ガスなどが原因となって引き起こった気候・地球環境変動によって、食料生産性の低下が危ぶまれる一方、世界的かつ継続的な人口増加に比例し、食料・農作物の需要が高まり続けています。農作物生産を加速させるために、これまで様々な化学肥料が利用されてきましたが、その過度な利用が土壌の質を低化させてきた事実があり、近年、土壌の持続を助ける有機肥料へのシフトが求められてきました。
しかし、従来の有機肥料は高い持続性の反面、施肥する環境の適性を見計らうことや作物への効果の最大化が難しい傾向があります。作物の成長促進の鍵を握るのは窒素成分であり、化学肥料の主は20世紀の初頭に誕生し、以降の農業生産を支えたハーバーボッシュ法と呼ばれる、生成に大量のエネルギーを使う方法でつくられた窒素化合物。つまり化学肥料、有機肥料、双方にデメリットがあると言えそうです。Air Fertilizer®は、以上の課題を補える可能性をもつ、空気を資源とする全く新しいゼロカーボン窒素肥料です。
有機質肥料でありながら、化学肥料に匹敵する成長性
Air Fertilizer®の効率的な生産のために、光合成の際に二酸化炭素を固定するのに加え、窒素固定能力ももつ微生物、海洋性紅色光合成細菌の最適な培養条件・環境を構築しました。海水条件下で光合成に適した光をその光合成生物に照射し連続培養を行い、この過程で代謝される窒素化合物・アミノ酸がAir Fertilizer®のもととなります。植物成長を活性化させるのに必要なアミノ酸、その組成を維持させたまま粉末にする独自の技術(特許出願中)によってAir Fertilizer®は誕生します。
Air Fertilizer®の窒素含有量は植物の育成に十分な量である11%、肥料効果の指標であるC(=炭素)/N(=窒素)比は4程度(低ければ低い方が良く、一般的な値の目安は10以下)と、純度が高くバランスの良い有機質肥料ができました。
開発した試作肥料を用い、小松菜、ブロッコリーを育成したところ、良好な成長性があることが確認されています。この結果はAir Fertilizer®が従来肥料の代替となり得る示唆だと言え、Symbiobeの「研究成果の社会実装」、これから執り行う事業の第一の軸はこの新しい有機質肥料の可能性を推進・発展させ、次世代農業、アグロエコロジーに必要なものとして広めることにあるのです。
Our advertisement feature in the online version of Nature
A novel fertilizer with a reduced carbon footprint
2024年7月11日付で、特集企画Focal Point on Building a Carbon-Neutral Societyの一部として、Natureオンライン版に記事広告「A novel fertilizer with a reduced carbon footprint」が掲載されました。(言語=英語)